オフィスのフリーアドレス制

オフィスのフリーアドレス制、そのメリット・デメリット

 

1.オフィスのフリーアドレス制とは?

 

従来型のオフィスでは、あらかじめ決められた位置に座席を配置し、一人ひとりに座席を指定、その指定された座席で、社員はそれぞれ働いていました。
これに対し、フリーアドレス制とは、職場で社員一人ひとりに固定した席を割り当てず、会社の中にいる社員が、その仕事の状況に応じて、「空いている席やオープンスペースを自由に使う形式のオフィスのこと」または、「その制度を活用して柔軟に、効率的に業務を進めるワークスタイルのこと」を言います。
つまり、「自席」という考え方をなくし、空いている席や自由な場所で働くことを指す、ということです。

 

2.当初のフリーアドレス制導入の目的 ~一人ひとりの作業スペース確保、オフィス賃料の削減

 

フリーアドレス制は、それが考えられた当初は、日本のオフィスの一人当たり面積が欧米に比べて極端に狭いために、せめて実質使える一人当たり面積を欧米並みにするための苦肉の策だった、と言われています。

オフィスで働く社員の総数に対して、その時実際に会社にいる社員は、出張に出ている方、会議に出られている方、営業顧客先に外出されている方など、多くの「不在の方を除いた人数」になるはずです。つまり、不在の方の座席スペースは、「あるけれど、使われていない空間だった」ということです。
不在の方の空間を社内にいる方が使えるようになれば、そのときに使える机上の面積を増やせるわけです。つまり、総社員数が100人で、不在にされている方の数が50人であれば、そのとき実際に使える机上の面積は2倍にできる、というわけです。

このことに注目すると、オフィスコストの削減に利用することも可能です。総社員数が100人であっても、不在にされている方の数が50人なら50人分の座席があれば良い、という考え方ができ、結果的にオフィスの面積は半分、賃料も半分で済ませられる、ということになるわけです。

 

3.近年のフリーアドレス制導入の目的

 

ただ、近年フリーアドレス制に注目が集まっているのは、もう少し異なる理由にあります。それはコスト削減の側面からではなく、より高いレベルのアウトプットをするためにフリーアドレス制を導入しよう、というもの。いわば、社員の働き方の改革の実現を目指す、ということです。

たとえば、座席が固定されないことで、これまでとは異なる社員同士の、あるいは、社外の方を含めたコミュニケーションを生み、自部門だけでは考えられなかったアイデアをアウトプットしたり、アイデアを実現したりといったことが、「自然に発生することを目指したものだ」ということです。

 

4.フリーアドレス制を導入する企業

 

フリーアドレス制を導入する企業は年々増加している、と言われています。この背景には、社会が物の生産能力で勝負する世界から、知的生産能力で勝負する世界に変わっている、ということが上げられます。

物の生産能力で勝負する世界では、同じ物をより短時間でどれだけ多く生産できるか、が問われます。つまり、決まった形のものをアウトプットすればよかった、ということです。一方、現代型の知的生産能力で勝負する世界は、知恵の組み合わせによる、新たなニーズの掘り起こしや、ニッチと呼ばれるような市場に個別の商品やサービスを提供しつつも利益を確保する工夫が必要になります。つまり、さまざまな領域の専門家の知恵をどれだけ集められるか、答えを作っていけるか、が問われるということです。

このような社会では、同じ部門の人々の知恵だけでは課題解決がしにくいことは明らかでしょう。つまり同じ部門の人々が、いつも同じように集まる従来型の座席固定型オフィスのメリットが薄れる、ということです。

 

5.フリーアドレス制のメリット

 

フリーアドレス制のメリットを整理すると、どのようなものがあるのでしょうか?

以下は、フリーアドレス制の一般的なメリットとして、よく上げられるもの、です。

・コミュニケーションの活性化により、さまざまなアイデア、具体的な解決策が生まれやすい
・これまでは生まれにくかった部門間、人間間でのコラボレーションが生まれやすい
・必要なアイデアを持った人が必要なときに集まるため、決断までのスピードが速まる
・自席の「物置化」が防止され、オフィス環境の美化につながる
・不必要なものがなくなり、省スペース化につながる

 

6.フリーアドレス制のデメリット

 

では逆に、フリーアドレス制にデメリットはないのでしょうか?

実際には、以下のようなデメリットがあると、一般的には言われています。

・集中しにくい
・ルールが整備されていないと、マネジメントが停滞する、あるいは、従来型のマネジメントでは対応ができない
・せっかくのフリーアドレス制のなのに、「いつもと同じ座席」を選びがちで、期待されたコミュニケーションやコラボレーションが生まれない
・組織への帰属感が失われやすい
・フリーアドレス制に対応したインフラ投資が必要(モバイルPC、ロッカー、ネットワーク環境など)

フリーアドレス制は、決して魔法の精度ではなく、メリットもデメリットもあります。そして、従来型の座席固定型のメリットも当然あります。よって、事業の在り方やその範囲、人材の特徴などとも照らし合わせ、また、各企業の市場でのポジションなども見極めながら整備していくことが重要になる、と言えるでしょう。

また、場合によっては全面実施ばかりではなく、部分的な実施という方法も検討してみる必要もあると言えるのではないでしょうか。

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