オフィスに広さを求める動きの拡大

オフィスに広さを求める動きの拡大 ~広いオフィスが求められるワケ

 

1.広いオフィスを求める動き

 

2018年4月時点でのオフィスの空室率は、東京エリアでは10年ぶりの低さとなっており、目安とされている5%を大幅に下回る2.8%となっています。
また、オフィス賃料も4年以上に渡って上昇する傾向が続いています。
この大きな要因として、企業による広いオフィスを求める動きがある、と言われています。

 

2.広いオフィスが求められる理由① ~人手不足と働き手の多様化という視点

 

広いオフィスが求められる理由としては、労働力不足を背景にした女性やシニア世代の登用や、障害のある方の雇用環境の改善など、働き手の多様化が指摘されています。
たとえば、これまで男性しかいない職場であったとしたら、化粧室や更衣室など、女性用の設備などが物理的に必要になります。シニア世代の登用や障害のある方を雇用する場合でも、相応の設備が必要となる場合があるでしょう。

このように働き手の多様化は、必ずしも積極的な理由ではないものの、企業が広いオフィスを求める理由の一つになっていると考えられます。
またオフィスの見栄えと言う視点もあるでしょう。広くゆとりのあるオフィスがあるA社と、オフィスが狭くゆとりの少ないB社があったとき、その他の条件が全く同じだとしたら、どちらが人手確保に優位と言えるでしょうか?
厳密に言えば、広くゆとりがあるオフィスであることが必ずしも良いというわけではありません。それでも少なくとも第一印象としては、広くゆとりのあるオフィスを持つA社の方が選ばれやすい、とは言えそうです。

 

3.広いオフィスが求められる理由② ~生産性の向上という視点

 

広いオフィスが求められる理由は、これまで見てきたようないわば消極的な理由だけではありません。オフィス環境の見直しを通じて生産性を高められるのではないか?という視点が、今まで以上に注目を集めているのです。

(1)これまでのオフィスにおける生産性向上施策 ~効率化という視点

これまでのオフィスにおける生産性向上施策は、実は効率を高めるという視点からのものが中心となっていました。
同じ質のものであればより多く生産できる方法は何か? 同じ量のものであればより短い時間で生産できる方法は何か? という視点からの施策が中心だった、ということです。言い換えれば、「仕事の量」的な側面からの生産性向上施策だった、と言えます。
もちろんこの視点は非常に重要です。効果を得られやすく、その効果を測定しやすいといった分かりやすさを兼ね備えてもいます。

(2)これからの生産性向上施策 ~質を高めるという視点

一方で生産性の向上は、効率化の側面からだけで考えるべきものではないでしょう。つまり、より付加価値の高い業務をしていくこと、Outputしていくこと、という視点から生産性向上を考えるということです。
たとえば、顧客に対して一律の商品・サービスを提供するより、その顧客の事情に合った形でカスタマイズされた商品・サービスを提供する方が、顧客にとっての価値は高くなると考えられます。

とはいえ、そのような付加価値の高い商品・サービスを提供していくには「創造」が必要です。つまり「創造性を高める」という視点から「生産性を高められるオフィス」も必要になってきている、ということです。

 

4.生産性を高められるオフィスとは?

 

仕事の量的な側面(=効率化の側面)と質的な側面(=創造性という側面)との両面から生産性を高められるオフィスとは、いったいどのようなオフィスでしょう?

その答えは、実はコミュニケーションが活性化されているオフィスだ、という研究結果があります。その必要な要素として、「思考」「協働」「相互理解」が考慮されたオフィスであることが上げられています。

(1)思考が考慮されているとは?
個人が集中して考えられる場であること、また、共同作業できる場であること、とされています。

(2)協働が考慮されているとは?
集団がある一定期間、目標達成に向けて成果を出すための活動ができる場であること、とされており、実際の形として「プロジェクトルーム」が上げられています。

(3)相互理解が考慮されているとは?
偶発的な情報交換が起こせる場であることで、不定期なコミュニケーションが発生する場とされています。

 

5.広いオフィスの実現で設置される場 ~思考・協働・相互理解への「しかけ」としての場

 

広いオフィスを確保することで設置されるスペースとしては次のようなものがあります。これらはいずれも、思考・協働・相互理解を促す「しかけ」として機能させられる点が重要と言えそうです。

(1)集中作業スペース
思考に集中するための場として設置

(2)リフレッシュルーム
集中して作業した後にちょっとした休憩を入れ、引き続き作業に集中して行えるようにすることを目的に、あるいは、他のワーカーとの偶発的な出会いがある場とすることを目的に設置

(3)プレイスペース・図書スペース
思考が停滞したときなど、他の刺激により思考をブラッシュアップさせるような場として設置

(4)スタンディング会議スペース
打ち合わせを効率よく行う、あるいは、短期間なら参加できるという方々を多く巻き込めるようにすることを目的に設置

ただこのような場は、物理的に広いオフィスでないと設置できないというわけではありません。たとえば、会議室を利用されていない時に開放することで作業スペースにする、リフレッシュルームは共通のコーヒーブレイクタイムを作ることで代用する、スタンディング会議スペースは通常の会議スペースを縮小して設置する、といった方法が考えられます。つまり、思考・協働・相互理解の「しかけ」を考えたいという場合であれば、「疑似的に広いオフィス」を実現することで対応できることもあるだろう、ということです。

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