偶発的コミュニケーションによる新たな気づき
オフィスづくりにおいて、働く人同士のコミュニケーション強化を図ることをコンセプトとする企業が増えています。
そういった企業ではオフィスをイノベーションを生み出す「知」の交流拠点と捉え、組織として新たな価値を創造していくための、さまざまな取り組みが行われています。
例えば、オフィスのオープン化により、多種多様な組織や従業員間の一体感、オープンマインドの醸成を支援することが可能になります。
従業員同士の偶然の出会いを誘発させ、人と情報が自然に集まり、そこで発生する何気ない会話が「知」の交流を高め新たな気づきを促す工夫をするなど、日々のコミュニケーションを生み出す仕掛けとしてオフィスリニューアルを行う企業も多いです。
内外のナレッジワーカーの集うハブとしての機能
新たな知識創造や価値創造の強化をめざして、社内外の「知」を積極的に交流させる、オープンイノベーションを推進するオフィスづくりを行う企業も増加傾向にあります。
さまざまな情報交流の中で新たな価値創造のための活動を、オフィスという物理的な面からサポートできるよう、会議室や打ち合わせスペースを充実させたいという要望も多いです。
また、社内の多様な部門や事業間での「知」の交流を活性化させるために、企業組織にもとづくゾーニングから、関係する事業によるゾーニングに変更することもあります。各部門や事業別の活動や協働を視覚的に認知させるため、空間のオープン化、打合せスペースやライブラリーなどの業務支援機能の共有化、カフェや食堂での積極的な交流のサポートなど、イノベーションを支える活動の場と仕組みが必要となってきています。
業務活動にあわせて選択できる働く「場」
部門を越えた交流を通して、情報やノウハウを交換し、部門間のシナジー効果を高めることも重要です。組織全体で創造性を発揮し、効率的に成果に結びつけるためには、個人にとどまっていた創造性を共有、発見できるワークスタイルを実現することが必要です。
そこで従業員に多様な働き方を選択できる「場」を提供する企業が増えています。
これは、フリーアドレスを採用する場合や、業務に応じて一部を固定席として運用するなど、企業・組織により運用方法やバリエーションは異なります。さらに、さまざまなICTを活用し、どの「場」にいても、シームレスに仕事ができる環境を実現することが必要となります。
心身の健康や人間的で豊かな生活への配慮
オフィスにおける、従業員の健康的な活動や豊かな生活の支援はすべての企業・組織における共通の課題です。自社ビル新築時やオフィス移転時などに実施される大規模な施策から、現状オフィス内での日常的な取り組みまで、その対策はさまざまあります。
オフィス移転に際して、体を動かしリフレッシュできるジム、健康的な食生活が送れるよう考えられた食事を提供するカフェ、クリニック、託児所などを設置し、日々の生活を豊かにし、働きやすい環境を提供している企業も出てきています。
過去の事例では、オフィスリニューアルの機会を利用し、健康に対する意識を高める仕掛けを用意したこともありました。
中にはオフィス内での活動量を増やすように動線計画を工夫する。あるいは、スタンディングワークを可能とする什器を導入するなど、比較的容易に実施できる対策もあります。
まとめ
目指すワークスタイル変革の姿や、そのためのオフィスづくりの課題とその優先度は、それぞれの企業・組織により異なります。
重要なことは、ただ単に先進的な取り組みをまねるのではなく、さまざまな角度から、その目的と施策、その成果を学び、自社・組織にとってどのような施策が効果的であるかをみつめ、実施すべき対策を十分に考察することです。選択した対策により、何を変えることができるのか、なぜ変わるのかを問い直しながらオフィスづくりを進めることが必要となります。